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労務管理のあれこれ11

歩合給について(割増賃金、最低保障額、最低賃金、有給休暇)

営業職の社員に、売上や粗利益の一定割合を給与として支給するといった歩合給は、

一般に採用されています。支給の仕方も、全額歩合給で支払う方法だけでなく、固定給に

加えて一部歩合給で支払う方法も採用されています。

1.歩合給と割増賃金

歩合給の労働者にも労働基準法 は適用されるので、8時間を超えた労働については、

割増賃金の支払いが必要です。

歩合給だからといって、残業代の支払いが不要になるわけではありません。

 

歩合給の残業代の計算

単価=歩合給額÷残業時間を含めた総労働時間

残業代=単価×残業時間×割増率(0.25)

 

割増率は、1.25ではなく、0.25を掛けます。

1.0の部分は歩合給として、すでに支払い済みであるからです。

 

例えば、所定労働時間170時間、残業時間30時間の月の歩合給が30万円で

あったとした場合、その人は、30万円の歩合給を得るのに、計200時間働いた。

つまり、1時間あたり、30万円÷200時間=1,500円の歩合給を稼いだと考えます。

 

残業時間30時間の1.0部分(1,500円×30時間=45,000円)は、歩合給として

支払い済みなので、残りの0.25部分のみ支払えばOKです。

①全額歩合給(30万円)の場合

単価  30万円÷(170時間+30時間)=1,500円

残業代 1,500×30時間×0.25=11,250円

 

②固定給15万円+歩合給15万円の場合

固定給単価 15万円÷170時間=882円

歩合給単価 15万円÷(170時間+30時間)=750円

固定給残業代 882円×30時間×1.25=33,075円

歩合給残業代 750円×30時間×0.25=5,625円

残業代合計  33,075円+5,625円=38,700円

 

※固定給部分についての残業代は、通常の計算方法どおり、1.25の支払いが必要です。

 

上記のように歩合給の場合は、同じ残業時間数であっても全額固定給の場合に比べて、

残業代は少なくなります。

 

全額固定給(30万円)の場合

30万円÷170時間=1,765円

1,765円×30時間×1.25=66,188円

 

 

2.歩合給と最低保障額および最低賃金

売上による歩合給を採用しているケースで、売上がゼロの場合でも、給料をゼロにすることは

できません。

なぜなら、労働基準法では、歩合給の労働者に対して、労働時間に応じた一定額の賃金

保障することを義務付けているからです。

一定額は、平均賃金の60%程度とされています。
例えば、直近3ヵ月の平均賃金が25万円であったとすると、売上金額にかかわらず15万円は

保障しなければなりません。(25万円×60%)

また、60%の額が最低賃金以上であることも必要です。

 

最低賃金のチェック方法

所定労働時間170時間、残業時間30時間で

 

①全額歩合給(25万円)の場合

25万円÷(170時間+30時間)=1,250円 ← この数字が最低賃金を上回っていること

 

②固定給15万円+歩合給10万円の場合

固定給 15万円÷170時間=882円

歩合給 10万円÷(170時間+30時間)=500円

882円+500円=1,382円 ← この数字が最低賃金を上回っていること

 

 

3.歩合給と有給休暇

全額固定給30万円の労働者が有給休暇を1日取得した場合は、特に追加で給与の支払いが

発生することはありませんが、歩合給の労働者が有給休暇 を取得した場合は注意が必要

です。

 

所定労働時間170時間、残業時間30時間で

①全額歩合給30万円の場合

30万円÷(170時間+30時間)=1,500円

1時間あたり1,500円の歩合給を稼いだことになるので、1日の所定労働時間が8時間で

あるとすると、1,500×8時間=12,000円 を1日の有給休暇に対して支払わなければ

なりません。

有給休暇を取得した日にもし、出勤して働いていたとすれば、すでに稼いだ30万円に

加えて12,000円は稼いだはずであるからです。

 

②固定給15万円+歩合給10万円の場合

10万円÷(170時間+30時間)=500円

500円×8時間=4,000円

有給休暇1日に対して、4,000円の支払いが必要

 

歩合給における注意点

割増賃金を支払うこと

最低保障額を設定すること

最低賃金をクリアすること

有給休暇の賃金を支給すること


 

●当社会保険労務士事務所では、歩合給を活用した給与体系の設計や、上記歩合給導入に

おける労務管理のポイントの指導等を行っています。

お気軽にお問い合わせください。

 

賃金体系制度諸手当制度などを導入した場合にもらえる助成金があります。

助成金についてはこちらから

 

 

 

出勤停止(自宅待機)について

出勤停止(自宅待機)には、懲戒処分としてのものと、業務命令としてのものがあります。

【懲戒処分としての出勤停止】

就業規則にその根拠となる規定が必要

→ 懲戒事由に該当しているかどうか

・実際に行われた服務規律違反行為と処分との間にはバランスが必要

→ その違反行為に対しての処分として妥当かどうか
処分が正当であれば、出勤停止処分中の給与の支払いは不要です。

出勤停止期間は、一般的に7日~10日としている会社が多いです。

 

【業務命令としての出勤停止】

業務命令としての出勤停止(自宅待機)は、不正事故等の調査のために行われます。

出社させると不正事故に関する証拠の隠滅再発のおそれがあるなど、出社を認めない

ことに正当な理由があれば、業務命令として出勤停止とすることは認められます。

 

ただし、業務命令として出社させないのですから、原則給与の支払いは必要です。

しかし、次の例外に該当する場合は、給与は支払わなくても構いません。

 

・出勤させないことについて、証拠隠滅や不正行為の再発などの、

緊急かつ合理的な理由があるとき

 

・不正行為の事実を確認し、懲戒処分として出勤停止にすることにした場合に、

事実調査のための出勤停止期間を懲戒処分としての出勤停止期間に転化

させることが就業規則等に定められているとき

 

事実調査のための出勤停止期間とは別に、新たに懲戒処分として出勤停止とする場合は、

事実調査期間中給与の支払いが必要です。