愛知県名古屋市の会社様の問題・課題・悩みを解決するベストパートナー、松田博史社会保険労務士事務所

052-411-1004

労務管理あれこれ1

社員を解雇する時の注意点は

解雇予告

社員(従業員)を解雇する場合は、次の【1】~【3】のいずれかの解雇予告が必要です。

【1】解雇日の30日前までに本人に言う。

【2】平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。

【3】20日分の解雇予告手当を支払い、10日前に予告する。

13日分の解雇予告手当を支払い、17日前に予告する。など、手当の支払いと日数を併用する。

解雇の予告は、文書でも口頭でも構いませんが、のちに争いとなった場合の証拠書類とするために書面で行うことが望ましいです。
解雇予告手当の支払は、解雇予告と同時に支払わなければなりません。

6月30日付で解雇する場合は、5月31日までに解雇予告が必要です。
5月31日に解雇予告し6月15日付で解雇する場合は、15日分以上の解雇予告手当の支払が必要です。

解雇予告の除外認定

天災事変その他のやむを得ない事由により事業の継続が不可能となった場合や労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合は、労働基準監督署の認定を受ければ、解雇予告を行わずに即時解雇することが出来ます。つまり、解雇予告手当の支払いをせず、明日から来なくていいよ。ということが可能になります。

解雇予告の適用除外

・2ヶ月以内の期間を定めて雇用した者

・試用期間中の者

⇒ 解雇予告の必要はありません。

ただし、2ヶ月以内の期間を定めて雇用した者が、定めた期間を超えて働くことになった場合や、試用期間中の者が、14日を超えて働くことになった場合は、適用除外にはならず解雇予告が必要となります。

解雇の禁止

次の場合は、法律で解雇が禁止されています。

  • 仕事中の負傷、疾病により休業している期間および復職後30日間
    産前産後休暇中および復職後30日間
  • 監督機関への申告を理由とする解雇
  • 国籍、性別、信条、社会的身分を理由とする解雇
  • 女性であることを理由とする解雇
  • 結婚、妊娠、出産を理由とする解雇
  • 育児、介護休業の申出や取得を理由とする解雇

懲戒解雇と普通解雇

懲戒解雇とは、従業員の企業秩序違反を理由とした解雇で従業員を罰するという側面も合わせ持っています。理由としては、服務規律違反、経歴詐称、私生活上の非行、兼職禁止、就業規則違反(転勤命令、残業命令違反など)、秘密漏洩 などがあります。
一方、普通解雇とは、仕事の成果・能力・健康状態・勤務態度が労働契約の内容に達していない場合の約束違反を理由とした解雇で従業員を罰するという目的は持っていません。従業員の能力不足、適格性欠如、勤務成績不良、勤怠不良、協調性欠如、勤務態度不良、疾病を理由とするものがあります。

能力不足の解雇についての考え方

■新卒採用
時間をかけて教育し、戦力として育てていく予定の採用であるため、能力不足での解雇は非常に難しい

■中途採用の若年者
職業経験も浅いため、少なくとも2年ぐらいの十分な教育を実施した上で、能力不足かどうかを判断する。

■地位特定者や職種特定者
地位特定者 → 能力を買われて営業部長など地位(役職)を特定して中途採用される者
職種特定者 → 高度の専門知識を有する専門能力者として採用される者

労働契約書を取り交わすことで解雇は認められやすくなる。労働契約書に会社が望む職務内容を詳細に記載し、仕事の成果の数値・内容を明示しておく。未達成の場合は能力不足による解雇を検討する。
ただし、認められやすいとはいえ、検討にあたり以下の点を踏まえる。
・能力を発揮する機会を与えたか
・会社として支援したか
・地位にふさわしい待遇であったか

■専門職
専門能力者とまでは言えないが、業務に専門性があり一定の経験を有している中途採用者。職種特定者同様に労働契約書を取り交わしておく。ただし、職種特定者のようにすぐに解雇を検討するのではなく、他の職種への変更を打診してみる。拒否した場合は解雇を検討する。

■専門職(ただし、未経験で採用)
一定期間(1年~2年)の教育研修を行う必要あり。その上で能力不足かどうかを判断する。

■即戦力営業職の中途採用
会社が要求する職務遂行能力・目標売上額を明示して労働契約書を取り交わしておくと解雇が認められやすい。ただし、改善の機会を与えることは当然必要。

当社会保険労務士事務所では、
・法的トラブルにならないように解雇するにはどうすべきか
・仮に法的トラブルになったとしても、会社に有利に解決するために何をすべきか

上記視点からのアドバイスを中心とした、従業員解雇に関するサポート(ご相談)業務を行っています。
お問い合わせはコチラから

退職勧奨を行う時の注意点は

退職勧奨とは、会社から従業員に対して自発的に会社を辞めるよう説得する行為で、従業員はそれに応じる義務は当然ありません。ただし、従業員がその申し入れに応じれば労働契約の合意解約となります。

だからと言って、会社は退職勧奨を自由になし得るのではなく、説得の回数・手段・方法が社会常識に照らして一般的でなくてはならず、決して強制的・執拗的なものであってはいけません。仮に説得の限度を超えた退職勧奨を行うと、従業員に対する不法行為となり、会社に損害賠償責任が生じるので注意が必要です。

退職勧奨を行う時のポイントは

【1】退職勧奨に応じることになった場合は、必ず退職願を提出してもらう。
または、退職に関する合意解約書を取り交わす。

※会社は退職勧奨に応じての退職と認識していても、従業員は解雇と認識していることがあるため。退職後における法的紛争リスクに対する備えのため。

【2】退職勧奨を行う業務上の必要性があるか。(退職勧奨するに至った理由を事実に基づいて、きちんと従業員に説明できるか。)

【3】説得行為が適正に行われたか。
(従業員の真意に基づいた退職であること。)

【4】退職勧奨の方法
・退職勧奨の面談は1人または2人で行う。従業員の自由な意思を尊重できる雰囲気で行う。
・面談は3~4回まで、1回あたりの時間は20分~30分程度とする。就業時間中に行う。
・場所は会社で行う。窓がある部屋で行うようにするとよい。

退職勧奨を行うにあたり、やってはいけないこと
(損害賠償責任が生じる可能性がある行為)

【1】多数回にわたる面談や長時間にわたる面談

【2】対象者が退職勧奨に応じない旨を明確に表現した後も、執拗に退職勧奨を継続する

【3】大声を出す、机をたたく、人格を否定するような発言、嫌がらせ、暴力行為などの心理的圧力を加える言動や名誉感情を不当に害する発言をする。
※ICレコ-ダー等で録音している可能性があるので注意する。

【4】解雇に相当する理由があるときは、退職勧奨に応じない場合は解雇の可能性があると発言することはOKであるが、解雇に相当する理由がないにもかかわらず、そのような発言をすること。

期間の定めのある雇用契約の雇止めについて

雇止めとは、期間の定めのある雇用契約を期間満了によって終了させることをいいます。
しかし、雇用期間に定めのある契約であっても、
●契約が反復更新されて、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合
●期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態までとは言えなくても、雇用継続に対する労働者の期待利益に合理性がある場合


に該当する場合は、解雇法理の類推適用がありますので、正社員の解雇と同様に客観的で合理的な理由が必要となります。つまり、雇用契約を期間満了のため終了させることが難しくなるということです。

雇止め有効・無効のポイント

仕事の内容等
仕事の種類・内容・勤務形態が正社員とどの程度同一性があるか。業務の内容や責任が正社員より軽いなど正社員との違いが明確であることは、雇止めを有効と判断する方向へ傾きます。

労働条件等
採用条件が緩い。採用手続が簡易。労働時間が短い。適用される就業規則が異なる。などは雇止めを有効と判断する方向へ傾きます。

契約期間や更新についての説明
長期間働いてください。期間の定めは形式的なもの。などの言動は、雇止めを無効と判断する方向へ傾きます。

契約更新手続
更新回数、通算勤続年数、契約更新時の手続の厳格性はどうか。更新回数が多い。通算の勤続年数が長い。更新手続が簡易なもの。などは雇止めを無効と判断する方向へ傾きます。

同様の地位の他の労働者の更新状況
例えば、勤務成績が悪い従業員は過去も雇い止めしてきた。などの実績があることは雇止めを有効と判断する方向へ傾きます。

その他
前回契約更新時に、次回は更新しないことを合意していた。更新回数に上限を設けていた。などは雇止めを有効と判断する方向へ傾きます。

以上を総合的に判断して、裁判所は雇止めの有効・無効を判断します。

希望退職・整理解雇を検討したい

昨今の経済情勢により、人件費を削減しなければ企業として存続が厳しくなってきているので、希望退職の実施や場合によっては整理解雇を行わなければならないと考えている会社様もあろうかと思います。その際のポイントをご紹介いたします。

希望退職とは
経営上、人員削減の必要があるため、一定の募集期間を設けて退職者を募集し、従業員がそれに自発的に応募することにより、労働契約を終了させる制度。
一般的には、退職金の上積み再就職先の斡旋など魅力ある退職パッケージを用意できるかどうかで、会社が希望する人数の申し込みを確保できるかが決まります。

優秀な人材が応募してくるリスクがあるため実施については慎重に検討してください。
■希望退職は一般的には整理解雇に先立って実施されることが多い。そのため従業員にとっては退職するか、解雇されるかという選択を迫られている側面があります。
■退職パッケージとしては、会社都合による退職金割増退職金、未消化有給休暇の買い上げ等が考えられます。 割増退職金は、給与の12ヵ月~24ヶ月分が目安です。(中小企業では、6ヵ月~12ヵ月分が目安)

整理解雇とは
経営上の必要性により、人件費削減の目的で従業員を会社都合により解雇すること。整理解雇を実施した場合にその解雇が有効と判断されるには、

【1】人員削減の必要性があるか
【2】解雇回避努力を十分したか※
【3】解雇対象者の人選は妥当か
【4】従業員に対し十分説明をしたか※

以上の4点を総合的に考慮して判断されます。特に※印の2点が大切となります。

人員削減の必要性

倒産が迫っているなどひっ迫した状況でなくとも、経営上の合理的必要性があれば認められる可能性が高いです。

業務上の必要性を判断する上での経営状況の3パターン
●まさに倒産の危機に瀕しているため、緊急に人員整理を行う必要がある場合(防衛型・緊急避難型)
●将来、経営危機に陥る可能性があり、その危険を避けるために、今から企業体質の改善強化を図るために人員整理を行う必要がある場合 (予防型)
●将来的にも経営危機に陥る危険はないと予想されるが、採算性の向上を図る目的で余剰人員の整理を行う必要がある場合 (攻撃型)

解雇回避努力

整理解雇を実施する前に、経営状況建て直しのための努力をすること。
例えば、経費削減、労働時間短縮、時間外労働禁止、昇給停止、賞与削減、新規採用の中止、休業、配転・出向、希望退職の募集など。これらを行ったが経営状況の改善が見られず、最後の手段である整理解雇に手をつけなくてはどうしようもない状況であることが必要です。

解雇回避努力の内容・程度
(防衛型・緊急避難型)会社が高度の経営危機下にあり、人員整理を緊急に行う必要性があるため、解雇回避努力は軽度なもので足りる。
(予防型)会社が生き延びることを目的としているため、人員整理に代わる次善策を容易に想定しうるというものでない限り、配転や希望退職の募集を行えば、一応、解雇回避努力を尽くしたと評価できる。
(攻撃型)人員整理の緊急性が全くないため、通常は使用者に最大限の解雇回避努力をとることが要請される。

対象者の人選の妥当性

解雇対象者の選び方が合理的であること。どういう基準で選んだか、説明できる基準を作成して実施することが大事です。

人選の考え方
●雇用形態による。正社員よりもパート・期間雇用者などを対象とする。
●会社への貢献度による。人事評価や能力などから判断する。
●従業員の生活上の打撃による。独身で実家から通勤している人を対象とする。

協議・説明を十分したか

整理解雇の必要性、方法等について従業員に対して十分説明したか。そして、同意を得られるよう十分努力したか。現在の経営状況、これまでの経営改善努力、今後の見通し、整理解雇の規模と時期、人選基準などを説明し、質問があった場合には誠実に対応する。また、解雇者に対して再就職支援などの配慮措置が取られていると有効と判断される方向に傾いていきます。希望退職、整理解雇の実施は以上の点を踏まえて慎重に検討してください。